『こぼれ落ちて』back number

収録アルバム:スーパースター

一人称:僕

 

思い描いていた理想の自分から遠く離れてしまっている現実の自分。

こぼれ落ちているのは、上手くいかず消費してしまっている日々や、自信や、周りの期待や、あの時の自分からの期待。

こぼれ落ちているということは、掴もうとしたということで。努力をしているはずなのに、空回っている自分に嫌気が差しているのか。

 

『意味のあるものを選びすぎて

なんか大事な所が欠けているような

必要なものを選んでるのに

価値が下がってる気がするんだよ』

 

夢に向かって努力を始めると、熱意や根性だけでは太刀打ちできない世界があることを知る。

やりたいことをやるためには、やりたくないこともやらないといけない。

夢を叶えるために必要なことなんだと言い聞かせて努力を続けるが、こんなことをして夢に近づいているのかともう一人の自分に囁かれてしまう。

下がっている価値は、自分の価値。

 

『理由を知れば知るほど誰も

悪くないって気付くそれだけなんだよ

大事なものや大切な人は僕を

強くしてくれたはずなのに』

 

人を傷つけたり、人に傷つけられたり、ぶつかったり、理解してもらえたりすると、相手の考えを受容できることが増えていく。

でも協調性や共感力みたいな物は、少数派になろうとする時、大きな枷になる。

なぜ大事なものや大切な人は、自分の夢を応援してくれないのか。応援できない理由ももちろんあるだろう。

自分を強くしてくれた人たちを振り切って、夢を追うことは正解なのか。正解にしないといけないことなのか。

 

『こぼれ落ちてゆく日々は

悲しみと迷いを乗せて沈んでくんだろ

いつだって泣いて喚いたって

何も変わらないから仕方なく

僕はまた変わってしまう

そこで出会うのはきっと

僕じゃなくまた違う誰かなんだろう

そこで知るんだ

この変化に名前をつけたら

きっと大人だって

どれだけもがいても』

 

現実に打たれ何かを諦め続ける日々。自分の想いを叫び続けても世界どころか自分の環境すら変えられない。

声を届けようとしなければ楽になれるから。夢を諦めてしまえば楽だから。自分が変わってしまえば、楽だから。そこまでしてしまったら以前の自分では無くなってしまう。

何かを諦め続けることが、大人になるということなのか。

なら大人になりたくない。まだ、もがきたい。

 

『自分を知れば知るほど何も

期待できないと思い知るだけなんだよ

気が付けばまた探し続けてる今度は

ばれない精密な言い訳を』

 

何度挑戦しただろうか。何度壁にぶつかり、跳ね返されただろうか。世間に晒されて明らかになる自分の限界値。

やることはやった。もう若くない。結婚。親孝行するべき。

自分の心に嘘をつき続けられる言い訳はなんなんだ。

 

『こぼれ落ちてゆく日々は

悲しみと迷いを乗せて沈んでくんだろう

いつだって泣いて喚いたって

何も変わらないから仕方なく

僕はまた変わってしまう

そこで出会うのはきっと

僕じゃなくまた違う誰かなんだろう

そこで知るんだ

この変化に慣れてしまったら

もう戻れそうもない

どれだけもがいても』

 

大人になるって、こういうことだ。

本音に聞こえないふりをして、追いかけていた夢を見ないようにして、昔の自分を遠ざける。

これでいいと言い聞かせてるうちはまだ良いのかもしれない。引き返すなら今だ。

 

『もう誰のせいにもしないから

もう二度と言い訳もしないから

強く生きていくよと誓うから

本当の弱くてダサいこの気持ちを』

 

あの時ああしていれば。もっと才能があれば。

もっと良い出会いがあったなら。

そんなことを言うのはもうやめる。

どんな人生になったとしても、それは自分の人生。自分が選んでしまった人生。

もっと努力をしていればなんて思うこともあるけれど、それも含めて自分の人生。

受け入れて前に進むしかない。

 

『こぼれ落ちてゆく日々は

悲しみと迷いを乗せて沈んでゆくんだろう

いつだって泣いて喚いたって

なにも変わらないから仕方なく

僕はまた変わってしまう

そこで出会うのはきっと

僕じゃなくまた違う誰かなんだろう

そこで知るんだ

この変化に名前を付けたら

きっと大人だって

どれだけもがいても』

 

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結局この主人公は自分の変化を受け入れたのでしょうか。

どっちとも取れるような歌詞に僕は感じます。

学生時代はあまり響かなかった曲ですか、ある程度大人になってから聴くと、また感じ方が変わってきますね。